犬猫の販売において「生後8週齢規制」というのを知っていますか?幼すぎる幼猫、幼犬の販売を禁止するというものですが、今まではペット業界の反発があって実現してこなかったのです。
欧州では、ペットショップの店頭での生体販売が禁止される条例が多い中、日本はまだまだといった感じです。
ただ、この8週齢規制が実現するようです。ペット業界に一石を投じたのは、ペット販売大手のコジマです。
一応、法の本則では56日以降・・・生後8週齢になってからとなっているのですが、附則で49日となっています。経過措置として設けているのですが、今やっと本則に則った規制をしようという意見が多くなってきました。
子猫販売の8週齢が大切な理由
端的に言うと、猫の心と体の健康には親や兄弟と一緒に育つ時期が必要ってことです。「こころ」と「からだ」どちらも、です。
育てやすい猫にするために必要な社会化期
猫が生まれて生後2~9週齢を「猫の社会化期」といいます。この時期に体験したことは猫のそれ以降の性格に大きな影響を及ぼします。
兄妹猫とじゃれあって「加減」を覚えたり、ブリーダーや保護主が育てる場合は、爪切りやお手入れに慣れさせたりすることが重要です。
本来であれば8週齢でも早いんじゃないか?と個人的は思うのですが、そうすると今度は環境が変わるストレスを感じやすくなるのかも・・・というジレンマがあるのです。
7週齢は子猫にとって要注意時期!
次は体調の面です。7週齢頃って、子猫がガクッと体調を崩す時期です。母猫からもらった抗体がなくなる時期で、風邪を引きやすくなる時期!
去年も、見事に兄妹猫が次々風邪引いてワクチンを打つ時期を逃してしまい、ずいぶん長い保護猫生活を送らせてしまった・・・。
だから、生後8週齢になってワクチン(1回目)を打ってから、販売したほうが良いと販売サイドも考えるようになっています。
長く手元に置くということは、経費がかかります。嫌な言い方ですが、販売業者にとって猫は商品です。
穿った見方ですが、近年のペットブームで犬猫の販売価格が上昇しています。それだけコストをかけても大丈夫とふんだのも理由かな?
この8週齢規制は、当面販売業者に対してです。保護団体や個人で保護して里親募集をしている場合には当てはまりません。
保護猫の現状と子猫の譲渡
ボランティアが保護する猫ってたいていが捨て猫です。ダンボールや袋に入れられて捨てられている場合もあるし、愛護センターや保健所に飼い主が持ち込むこともあります。
親子揃って、なんてことは珍しいです。たまに、保護した成猫が出産したということもありますが。
生後7週や8週なんていうお話ではなく、まだ乳飲み子!?というおチビさんたちも捨てられたり収容されます。
保護したボランティアは必死になって育てるわけですが、早い時期に里親様を募集することも少なくありません。里親募集サイトでも、1.5ヶ月くらいのチビ猫が掲載されていますね。
本来は、生後2ヶ月過ぎてから譲渡するのが望ましいのは分かっていますが、そうも言っていられない理由もあります。
幼い子猫の里親募集をする背景
これは、全てのボランティアに言えることではないのを前提にお話します。NPO法人になっていたり、大規模なシェルターを持ち、多くの有償無償の人員をかかえている団体もあります。
ある程度の月齢になってから譲渡をする団体もあります。ただ、全国のボランティアで見ると、その多くは個人保護主です。
譲渡費用として里親様に負担していただいても、とうていそれだけでは賄えません。いわゆる手弁当というものです。
じゃぁ、保護する頭数を制限すればいいじゃないか、きちんと面倒をみられる「身の丈にあった」活動をすればいいんじゃないか・・・ごもっともなんです。
ただ、保健所や愛護センターの引き出しボラをしていれば、「収容されているけど引き出せなかったら」・・・その先に待っているのは?
TNR現場でヨチヨチ歩く子猫を見つけたけど保護できる場所がなかったら?運がよければ無事成長するかもしれませんが、全部?
子猫の譲渡は里親様との熱い信頼があってこそ!
今の時期、里親募集サイトや譲渡会にはまだ小さな子猫がたっくさんです。譲渡会場も大盛況で、一年のうちで一番嬉しい悲鳴が~。
可愛いですよ。譲渡会でもヨチヨチ歩いたり、ケージの中で遊んで寝て・・・。お申込みもたくさんいただきます。
ただ、チビ猫の譲渡はかなり慎重になります。もう少し大きくなった子猫でも、成猫でも同じなのですが、里親様に求める項目が増えます。
お留守番時間は必須項目です。体調を崩しやすいことも説明して、ワクチンをどうするかを相談します。
里親様のお宅に移動した後にワクチンを打つにしろ、子猫は1ヵ月後に2回目を打ちますから、今後通うであろう動物病院についても聞きます。
フードも、カリカリポリポリドライフードを食べてくれるわけではないので、離乳食は手間がかかることも伝えることがあります。
そういうことを全部理解してくれて、大丈夫ですよ!と言ってくれる里親さんが現れると、心から安心してチビ猫を預けられます。
サイトから申込みをするにしろ、譲渡会に行って選ぶにしろ、チビ猫の譲渡に関しては、保護主も慎重になるということを理解してください!
トライアル期間中に体調を崩して病院に行くことになることもあるでしょう、まだ社会性が十分でなくて育てにくいこともあるかもしれません。
でも、子猫の・・・それも幼猫の時期はあっという間です。大変かもしれませんが、きっとあなたの宝物になります。