猫の平均寿命は15歳を超えました。2018年現在、もっとも長生きしたご長寿猫は、アメリカの38歳のメス猫というから驚きです。
日本では、36歳まで生きたという記録が残っていますが、誕生年が不確かだということでギネス記録にはのっていないそうです。
きっと特別な食餌でも与えていたのだろうと推測するかもしれませんね。でも、この子達はどちらかというと栄養バランスなんて無関係のものらしいです。
ただ、日本で猫の平均寿命が伸びた要因には、室内飼いとキャットフードの進歩があったことは確かです。
世界初のペットフードは犬用だった
世界で初めてペットフードが開発、販売されたのは19世紀後半、ロンドンに住むアメリカ人ジェームス・スプラッツ氏が犬用ビスケットだといわれます。
1894年に拠点をアメリカに移し、スプラッツ・オブ・アメリカという会社を立ち上げます。日本は明治27年です!
ずいぶん年月が経ち、日本にドッグフードが輸入されはじめたのは1950年代になってからです。
日本ではキャットフードの方が先に誕生していた
実は、日本で始めて製造されたのはなんとキャットフードでした。今も猫缶で有名な「いなば食品」です。1958年のこと。ただ、これはアメリカへの輸入目的なので一般家庭までは行き渡りません。
日本ではその2年後に犬用ビスケットが協同飼料株式会社から販売されました。やっぱり犬用なのです。
現在協同飼料は吸収合併されフィード・ワン株式会社となっています。でも、1963年に協同飼料を母体として設立したのが日本ペットフードです。ビタワンで有名ですね。
キャットフードの歴史はまだまだ浅い
私の子供頃は、飼い猫のごはんといったらやっぱり残飯でした。残飯といっても食べ残しってわけではないですけど。
当時少しのあいだ通ってきていた猫に、炊き上がったごはんにおかずの魚の身をほぐして味噌を溶く前の出汁をかけて与えていたのをうっすら覚えています。
まだ、猫を室内だけで飼うなんて、一部のお金持ち層しか考えられなかった時代です。歳がばれますが・・・。
キャットフードは当初犬用を改良されたものだったそうです。猫の栄養バランスを考えて作られたものではなかったということです。
今ではキャットフードには必ず含まれているタウリンに関しても、1980年代になってからその重要性が発見されたほどです。
キャットフードの普及が完全室内飼いを可能にした
猫は私たち人間と違って完全肉食動物です。動物性タンパク質がないと生きていくことができません。エネルギー不足になってしまいます。
外に自由に出ている猫は、ネズミなど小動物を仕留めてエネルギーを得ています。今でも飼い猫が「お土産」を持ってきたという話はよく聞かれますね。
猫に合ったごはんを手作りしようと思ったら、まずネズミを捕まえてくることから始まります。ぞっとします。
もちろん、猫の栄養学をきちんと学んで完全手作り食で飼育している飼い主もいます。ただ、それをできるのはほんの一握りの人たちであるのは確かです。
じゃあ、もしキャットフードがなかったら?昔のように人間と同じような食事で猫の健康が保たれるかというと疑問です。
塩分過多はもちろん、人間がよく使うものの中には猫が中毒を起こす食材も多いです。今こうして愛猫とぬくぬくした部屋でまったり過ごしていられるのも、キャットフードがあるからだなー、と改めて感謝します。
市販のキャットフードは万全ではない
ただ、販売されているキャットフードがすべて安全かというと話は違ってきます。日本でキャットフードの需要が高まってきたのはほんとうにここ数十年です。
今はペットフードの成熟期などといわれることもありますが、個人的にはまだまだこれからだと思うのです。
生きていくうえで食事は必要不可欠です。別の種族であるペットたちには、それぞれ合った食事内容があります。必要な栄養素も違います。
キャットフードはほとんどの飼い主さんにとって欠かせないものですが、常にその品質に気を配って、安全でその子に合ったフードを選択してほしいと願います。