先日、ヤフーニュースで冬生まれの子猫についての記事がありました。
猫の生態をご存知の方は、「猫は冬に出産しない」って知っていると思います。 でも、最近は1年中ペットショップには子猫が並んでいます。はて?
メス猫の発情は日照時間が関係している
猫は季節性多発情繁殖動物っていうのに分類されるそうです。
繁殖活動が活発になる季節を繁殖季節といい、この繁殖季節がある季節繁殖動物といいます。 多発情というのは、1年間または一繁殖期間中に周期的に発情を繰り返すこと。
「猫の恋」って春の季語らしいです。でも、実際の発情期は日本では1月~8月くらい。中でもピークが春(2~4月)と夏(6~8月)です。
発情の時期を決めるのが日照時間の長さ。日照時間が14時間を超えるとメス猫は発情します。 で、これはルクスの問題で、人工的な明るさでも反応してしまうのです。
これを悪用して、自然の発情期ではない時期に無理やりメス猫を発情させて、本来生まれない冬に子猫を産ませようという悪徳ブリーダーが後を絶たないわけです。
記事では、はっきりきっぱりばっさり切り捨ててます。 ちなみに、オス猫は発情したメス猫につられて発情します。
飼い猫も1年中出産してるのか?
私が保護猫ボランティアさんの活動をお手伝いし始めたのは、もう10年以上前ですが、当時は冬には本当に子猫は少なくて、冬の譲渡会と言ったら成猫だらけ・・・というのが普通でした。
それでもたまに子猫がいると、「家で産まれちゃった子を捨てたのかな?無責任だよね」、って言ってました。 今ではその数が増えていると実感します。
人工照明で長時間照らされた室内にいたら、冬でも発情してしまいます。 メス猫は発情すると外に出たがることも多いし、鳴き声がとんでもなくうるさいから、わざと外に出してしまう飼い主もいます。
悪徳ブリーダーが故意にやっているのとは違うと思いますが、結局は面倒見切れない生まれたての子猫を捨てるか、保健所や愛護センターに持ち込む人がいるってことです。
その可愛い子猫たちはどこから来たの?
話を元に戻すと、悪徳ブリーダーはそもそも猫の健康なんて考えていないから、無理な繁殖をするわけです。
実際ブリーディングには、近親繁殖というものがあって、近い血統の猫同士を合わせる方法もあります。
ただ、これには遺伝学の基礎知識はもちろん、たとえ障害も持った子猫が生まれても、その命に対する責任をまっとうする覚悟が必要なことは言うまでもありません。
ところが現実はどうでしょう?
極近親繁殖といった親子兄弟姉妹での繁殖なんていうのもあるでしょう。猫種が激減した第2次世界大戦後には頻繁にとられた方法らしいですが、当時は各猫種の存続のためには致し方なかったとか・・・。
それはともかく、現在も希少な猫種を輸入したときなど、悪徳ブリーダーなら考えもなく近親繁殖をしてしまうのでしょう。
その結果、奇形など生まれてもその子たちは・・・想像するだけで悲しくなります。 そもそもそういった悪徳ブリーダーによって繁殖にあてられた母猫自体、健康的な生活を送っているとは考えられません。
誤解のないよう言っておきますが、ペットショップで購入した猫さんと暮らしている愛猫家を非難しているわけではありません。
思いつきで「可愛いー!欲しいー!!」って購入して、世話が大変だから・飽きたから・・・という理由で手放す人はもうれつに腹が立ちますが。
ただ、ペットショップに並んでいる子猫たちが、どういう環境下で生まれてきたのか、思い巡らせて欲しいと願います。
飼い猫が産んだ子猫を捨てる人たち
今私が携わっている保護猫たちは、ほぼ保健所からの引き上げです。子猫がわんちゃかいます。
一度に生まれた子たちなのー・・・と5~6匹のミーミー言っているチビ猫たち。 ひどい場合はへその緒がついてます。
野良ちゃんが産んだ猫をごそっと持ってきた、ってケースもありますが、ついさっきまで母猫のおっぱいを飲んでいたね、っていうきれいな状態の子猫もいます。
考えたくないけど、飼い主(母猫の)が持ち込んだんだと・・・。
同じ命なのに・・・。 家の庭先に来ていた猫を、可哀相にと家に入れてあげることもあるでしょう。その子が妊娠していて、予期せぬ事態になってしまった、ということもよくある話です。
実は私が昔引き取った2匹がまさにそうでした。別々の母猫です。 1匹のつもりがいきなり5?6?7!?・・・途方に暮れるのも理解できます。
でも、育てられないのならせめて新しい家族を探してください。今は、ネットでも里親募集サイトがたくさんあります。 どうかどうか、生まれてきた命を見捨てないようにお願いします。