猫の多頭飼いといっても、何頭いるかで生活環境も大きく変わります。長年猫ボラさんのお手伝いをしていると、リアルな状況も垣間見えることが多々。
個人の方が「可哀相」といって猫を拾って・・・また拾って・・・気がついたら家中猫だらけに!ということもあります。
いわゆる『多頭飼い崩壊』という状況です。テレビでもなんどか取り上げられていますね。
猫の適正な飼育数とは?
わたし自身は、一人暮らしのときは数年は1匹、少しして2匹の多頭飼いでした。結婚して家族を持ってから3匹、一番多いときで4匹です。
保護猫の預かりボランティアをしているので、実際の猫の数はもっと多いですが、里親さんを見つけることが前程です。
里子に出すことについては、あとで詳しく書きます。
さて、適正な飼育数ですが、家族の人数プラス1程度と考えています。もちろん、経済力は大いに考慮すべき点です。ただ、それ以外にも『何かあったときに同行避難できるか』ということがとても気になるのです。
2011年の東日本大震災のとき、私は東京にいました。震度5強を経験しましたが、揺れの大きさも恐ろしかったですが、猫を連れて逃げることができるか・・・ということをすごく考えました。
成猫は5㎏ちかくあります。そのときはうちの子3匹、預かりの中猫1匹でした。リュックタイプのキャリー二つに手持ちのキャリーが2つ、予備に肩掛けタイプがひとつありました。
娘はまだ4歳・・・一番軽い子を肩掛けに入れて持ってもらおう!なんて具体的に考えめぐらせました。
今は、もっと現実的になっています。今いる頭数分の食糧とトイレグッズなど、もし避難場所で生活せざるを得ない状況になったときにどうするか。
そんなことを考えると、おのずと自分なりの適正飼育の目安が出てきます。
猫1匹の生涯にかかる費用を考える
近年猫の寿命は伸びています。今は飼い猫の平均寿命は15歳を超えています。中には20歳という子も最近ではよく耳にします。
猫の日常かかる費用は食事とトイレ砂ですね。わが家はそれらの固定費は1匹当たり4,000円くらいです。ドライフードとウェット、体調によって乳酸菌のサプリ。かける3匹分です。猫砂はシステムトイレではなく、通常の砂タイプです。
1匹当たり年間48,000円
これに必ずかかる費用がワクチンです。5,000円くらい。猫がいれば猫用のベッドやブランケット、おもちゃなどどうしても買ってしまいます。
そういうものを含めると、おおよそ年間出費は
60,000~70,000円
と計算しています。
猫の医療費は高額になることも!
医療費は、健康なときであれば、年に一度のワクチンと簡単な健康診断で済みます。でも、7-8歳になりシニア期に差し掛かったことには、血液スクリーニング検査くらいは受けたいです。
猫は高齢になると腎臓や肝臓を悪くする子が多いし、最近はアレルギー持ちの子も増えているので、医療費は絶対頭に入れておく必要があります。
病気によっては、特別な食事(療法食)が必要になってくることもあります。たいていちょっとお高いです。
多頭飼いは猫のストレスになることもある
猫は不思議な動物です。単独生活をする動物といわれていますが、集団が苦手というわけでもありません。
ゆるゆるとしたコミュニティを維持できる柔軟性もあるのです。だから一つ屋根の下で複数の猫と楽しく暮らすことができているのですけどね。
ただ、猫はテリトリーにはこだわりが強いことに変わりありません。お気に入りの場所でゆっくりひとりだけで休息したいのです。
あまりに頭数が多いと、猫にとってもストレスになります。テリトリー争いの小競り合いが起こることもあるかもしれませんし、トイレに入ろうとしたら他の子が入っていて我慢してしまったり、といった日常の細かいことでも少しずつストレスは溜まっていきます。
飼い主に甘えようと思ったら先を越されていた・・・なんてこともありますよ。
飼い猫は避妊去勢を必ずしましょう
通常、保護活動をしている団体や個人ボラから猫を譲り受けるときは「避妊去勢」が条件になっています。
それは、ノラネコとして迷惑がられたり、最悪保健所に持ち込まれて殺処分という悲しい猫をなくすことが活動の目的でもあるからです。
猫は一度の出産で多数匹産みます。愛猫の子供が欲しいと思うこともあるかもしれませんが、4匹生まれたら、その親も含めて短期間にすべて手術をしようと思ったら費用もばかになりません。
そのうち・・・なんて思っていたらまた出産シーズンが来てしまったりしたら多頭崩壊への道まっしぐらです。
適正頭数を超えて猫を保護してしまったら
うちではこれ以上飼えないけど・・・それでも外で猫を拾ってしまうことってありますよね。小さな子猫が震えていたら放ってはおけません。
無理して飼おうと思わず、里子に出すことも考えましょう。たまに、ボランティア団体に相談される方もいますが、そのときは自分にできることを最大限やりましょう。
健康診断(駆虫は必須です)や月齢によってはワクチン、成猫であれば避妊手術などの費用は全額持つのは当たり前ですね。
ボランティアは公の機関から援助をしてもらっているわけでもありませんし、捨て猫や外の猫の受け入れ団体ではありません。
たまに猫を拾ったから保護して欲しいと言ってくる人がいます。いわゆる『丸投げ』というものです。快く引き受ける団体はまずないです。
ただ、きちんと責任を持って行動する人には好意的です。ネットでの里親探しのノウハウや、もしかしたら譲渡会に参加できるよう手配してくれるかもしれません。
ただ、猫を拾った人が保護主だということは忘れないでください。同じ猫好きとしてのお願いです。