猫の社会化期について、どのくらい知っていますか?
少し前に「生後8週齢規制」が話題になったこともあるので、犬猫をあまりに小さなときに親から離すのはよくない・・・というのを耳にしたこともあるのでは?
社会化期ってなに?猫にとってなぜ必要?
子猫はだれに教わらなくても自然に爪とぎをしたり、動くものを獲物に見立てて狩りの真似事をします。
こういった行為は生物が本能として備わったものです。乳首に吸い付くのも、砂で用を足すのもそうです。
ただ、他の猫との関わり方や人間との距離の取り方などは、学習によって身に付けるものです。これを社会化、社会性を育むといいます。
社会化が身についていないと、猫社会でうまくやっていけずにトラブルを起こしたり、他の猫と関わることによって体調を崩すなど、当猫にとってもマイナスになります。
猫の社会化期はいつまでか
生まれたばかりの赤ちゃん猫は、母猫のおっぱいを飲んでいるとき以外は寝ています。たいていの場合兄妹がいるので、身を寄せ合って団子状態でいます。
赤ちゃん猫はまだ自分で体温調節ができないので、きょうだいで固まって体温を保っているのです。
以前、5匹の赤ちゃん猫が団子になって寝ているのを見ていたことがあります。おもしろいことに、しばらくすると猫同士がもぞもぞと動いたかと思うと、場所を交換していました。
上のほうにいた赤ちゃん猫が、下にもぐりこもうと頭をつっこんでいました。寒いっ!場所変われ!って感じだったのでしょう。
社会化期に身につけたことが猫の性格に影響する
生後3週齢頃から兄妹でじゃれあうようになります。このあたりが猫の社会化期の基礎となります。
お互いにちょっかい出してはコテンと倒れたり、まだたどたどしくはありますが、ハンターとしての本能が垣間見えます。
7週齢から9週齢にかけて遊びも本格的になってきます。体重も1kgに届くほどになるので、多数の子猫が遊びまわっているとかなりの激しさです。
この時期に、おもちゃで遊んだり撫でたりスキンシップをとることによって、人間を必要以上に怖がらないフレンドリーな猫に育つようになります。
猫の社会化期は生後2週齢から9週齢
社会化期に猫と過ごさなかった子ねこは?
子猫は遊びの中から手加減を学んでいきます。近くで見ていると、猫という生き物の運動能力の高さをまざまざと感じます。
全体重をかけて取っ組み合ってごろんごろんと転げまわっていったり、どーんとのしかかったりします。これ、人間の赤ちゃん同士がやったら絶対怪我するわ、と思いますよ。
このような遊びを経験してこない猫は、手加減というものを知らないので、家族となった人間が教えていく必要があります。
甘噛みは子猫のころに教えよう
これ、大事です。噛むという行為は猫にとってそれほど特別ではありません。獲物を仕留めるときの本気噛みとはまったく違うものです。
きちんと社会化期を健全に送った猫であれば、当然甘噛み・・・それほど痛くないはずです。それが可愛い!という飼い主さんも多いですね。
ところが、大人になって加減知らずだとかなり痛いし、時にはぷすっと穴が開いてしまうこともあります。
(表皮が傷つく程度ですが、やっぱり念入りに洗ってください。お口の中のばい菌はあなどれません。)
効果的なしつけ方法(あくまで噛み行為を制御する)は、
カプッときたら反応しないでスルー
大声を出したり、体罰はNGです。驚かせてその行為をやめさせるのは猫にとって効果的なしつけ法とはいえません。
いたーい!とわめくのも、猫は遊んでくれると思ってかえって逆効果です。
ガジガジ離さないときは手を猫の方へグッと押し込んでください。アガアガして離してくれます。手を引っ込めようとすると、歯で傷を作ってしまうこともあるし、猫を余計に興奮させます。
猫は動くものに反応する動物です。悪気はないのです。
これを根気よく続けていけば、そのうち猫のほうも「これくらいなら大丈夫だろう」と学習してくれます。
以前生後9週齢でうちに来た子猫は、最初飛び掛って噛んでくる子でしたが、1ヶ月もしないうちにおさまりました。それまでに手は傷だらけでしたけど・・・。
噛み猫にしない秘訣!手で遊ばない
これ、やってしまいがちですが、絶対に手をおもちゃに見立てて遊ばせないようにしましょう。
子ねこのときはエイッと飛び掛ってくる姿が可愛くても、それを大人になってやられたらたまったものじゃありません。
手=おもちゃ
この図式が擦りこまれてしまったら、撫でようとしてもガブッ!目やにを取ろうと手を伸ばしてもガブッ!なんてことになりかねません。
子猫に必要な社会化期まとめ
猫の社会化期は生後9週齢までと言われています。また、離乳時期が早い子の方が同じ場所を執拗に舐める行為やウールサッキングなどの常同行動(無意味な反復する行為)が多いという報告もあります。
猫にとって、成長期に母猫や兄妹猫と過ごすことはとても大事ということは事実です。ただ、ペットショップでも猫に必要とされる9週齢に満たない子猫が生体販売されているのが現状です。
保護団体から譲り受ける場合も、保護される猫のほとんどが十分な社会化期を過ごせたとはいえません。
そういう点を踏まえて、子猫を飼おうと思ったら、飼い主が社会性を育んでいくのだという意識をもって接してあげましょう。