パーソナルキャットという呼び方を知っていますか?
たった一人の人にしか懐かない猫
このような猫のことをそう呼ぶことがあります。たった一人の人とはほとんどが飼い主ですが、一番好きという次元を通り越した状態。さらには、一緒に暮らしている同種である猫にさえ心を開かないというツワモノなのです。
猫の性格を作る要因は遺伝と環境
猫の性格を決める要素は、諸説ありますが「警戒心」と「好奇心」のバランスといわれます。これは、あくまで人間側からみたなついてる・なついていないの基準だと思うのですけどね。
同じ環境で育った子猫でも性格は違う
子猫は好奇心の固まりです。母猫は子猫が自由に動き回れるようになると、危険なものを教えます。そのやり方は時にかなり厳しいです。
ただ、同じ環境で育った子猫でも成長するにつれ行動に差が出てきます。興味を持つと突進する子、とりあえず様子をうかがって慎重に行動する子。
例えば、赤ちゃん猫のときから人間の手で育てられた兄弟姉妹でも、やっぱり差が出ます。オスメスによる差も考えられますが、同性の子達でも生後2ヶ月目に入った頃からその違いは分かってきます。
もうこれは持って生まれた性格としか言いようがないです。
今年の保護猫3姉妹も、三猫三様でした。初めてのおもちゃを見たとき、初めての人に会ったとき、初めて車に乗ったとき・・・その反応はそれぞれ違います。
最近言われているのは、猫の性格には父猫の性格が大きく影響するというのですが、この3姉妹は多分父猫は同じだと思うのですけどね。
パーソナルキャットが心を許すのは少しの好奇心?
外で暮らす猫たちは警戒心が強い子が多いです。そうでないと生き残れないので当たり前です。
地域猫や餌やりさんがいる猫は、人に慣れている子も多いですが、それは「この人は大丈夫」ということを学習したからでしょう。
その中から人間は大ジョブ!と思考変換した愛すべき能天気な猫もまれにいて、看板猫になるのですね。
パーソナルキャットの心の中は、警戒心の固まりだと推測されます。他の何者も寄せ付けない頑固な意志を感じます。そこにほんの少しの好奇心が加わって、飼い主だけに懐く猫になるといわれています。
ここで疑問がわきます。自分と同じ猫族にも心を開かないのはなぜか?
猫は人間が思う以上に気高い生き物なのだ
猫は単独生活者です。ライオンを除いたネコ科の動物はみな同じです。個々にテリトリーを持って生活しているわけですが、こだわるのは寝床と餌場です。
ところで、猫が人間から餌をもらったりしないでハンターとして生活していくためには、1日どれほどの食糧を調達しなければならないかご存知ですか?
野生ねこ時代は野ねずみなど小動物が狩りの対象です。1日に必要な食事量は約400gで、50g程度の野ねずみなら1日に8匹は食べないとお腹が減ってしまいます。
そしてなんと!猫は優秀なハンターと言われていますが、その成功率は1割程度と推測されているのです。これはチーターなど大型のネコ科の動物がそうだからです。
猫の胃袋は小さく、ネズミ1匹食べるとそこそこ満足するそうです。でもすぐにお腹が空くので、休憩(ちょこっと寝)して体力が回復したらまた獲物を探して歩き回ります。
なかなか忙しいですね。私たちがイメージする外の猫たちは塀の上で気持ち良さそうに昼寝していたり平和そのものですが、あれは外出自由の飼い猫が気持ちよい日向があったから寝ていただけかもしれません。
本来のネコ科の習性から考えると、猫同士が集団で見かける場所は、食事量が十分足りているからこそなのでしょう。
そんなゆるい集団生活も送ることができるのもネコの特徴ですが、それでも一匹狼ならぬ一匹猫も存在します。
多頭飼いの猫たちはまさにその「ゆるい集団生活」を送っているわけですが、他の猫とまったく馴染まない子もいます。
家の中で、他の猫とほとんど接触しないで単独で過ごす猫は、本来の性分が残っているだけともいえます。
十分な食事が確保できて、快適な寝床があれば問題はありません。流血するようなケンカが勃発したり、いじめられて体調を崩すようなことがない限りは、テリトリーが被っていても猫はうまくやっていけるものなのです。
快適な寝床をめぐって小競り合い程度は覚悟が必要ですけど。
パーソナルキャットの程度は猫それぞれ!付き合い方も千差万別に
一人の人にしか懐かない・・・そうは言ってもその猫がどんな態度かはかなりの差があります。ちなみに、パーソナルキャットは飼い主(あくまで人間目線の)だけに懐いているのであって、家族の中で一番、というレベルの話ではありません。
飼い主以外は触れない、姿を隠す、ひどくなると攻撃することさえあります。初めて家に来た来客に対する態度と同じなので、一緒に暮らす家族は悲しいしショックでもありますね。
飼い主に対しても、ごろごろ甘えてくる一見するとごく普通の猫に感じる子もいれば、ここまではOK!でもこれ以上はイヤ!という猫もいます。
私の家のパーソナルキャットの話です。警戒心の固まりのような状態で我が家に来ました。最初は誰にも近寄らず、ただ出された食事を食べて隠れ家で寝るという生活を送っていました。
触ろうとすると本気パンチで攻撃をしてきました。
1年経つ頃から私だけには近づいてくるようになりました。それでも、自分からスリスリする分には満足げですが、私から触ると脱兎のごとく逃げていました。
一緒に暮らして8年です。やっと擦り寄ってきたときだけは撫でられるようになりました。他の家族に対しては、あいかわらず外で初めてあった野良ねこさんと同じ態度です。
この子と一緒に暮らしてみて、ねこと暮らすことの責任と寄り添うことの大切さを改めて感じます。
懐く懐かないは人間からみた猫の側面でしかありません。その子がその子らしく猫としての生活をごきげんで過ごすことが飼い主として最大の喜びではないでしょうか。