猫は犬に比べて体臭が少ないです。健康な猫であれば、ほとんどない!もしくやお日様の匂いがする、と感じるほどです。
猫ってしょっちゅうグルーミング(毛繕い)しているイメージがありますね。もちろんそれも猫に体臭がない(嫌なニオイがしない)理由のひとつです。でも、実は理由はそれだけではありません。
猫には体臭の元になるアレが少ないのだ
そもそも、体臭はなぜあるのか?ってことですが、皮膚には皮脂を分泌する「皮脂腺」と汗を出す「汗腺」があります。
それぞれの役割は、
- 皮脂・・・皮膚に潤いを与えて保護する
- 汗・・・体温を調節する
どちらも分泌された直後は無臭です。ところが、時間が経つにつれ皮膚に存在している様々な菌が、皮脂や汗に含まれる脂質やたんぱく質などが酸化、分解されてニオイの元になるガスを発生させます。
汗腺には2種類あります。たんぱく質性の汗を出すアポクリン腺と水分の多い汗を出すエクリン腺です。
人間で言えば、エクリン腺は全身にありますが、アポクリン腺は脇や性器周辺に集っています。なんとなく体臭の正体が見えてきましたね。
さて、猫の場合はアポクリン腺がほとんどありません。猫は汗腺がないから体臭がないという話も耳にするほどです。
実際には肉球にはエクリン腺があります。肉球がじっとり濡れていることありませんか?特に病院に行った時など猫も汗をかきます。人間と同じように緊張したときにじとーっと。診察台の上に肉球のあとが!ということも多いです。
猫は人間にはわからないニオイを持っている
じゃあ、猫は無臭かというとそうでもなく、人間には感知できないだけなのです。猫はそれぞれ固有のニオイを持っていて、個体を識別しているらしいのです。
外の猫は、電柱や木につけられたマーキングのニオイを嗅いで「あ、アイツが通ったな」と分かるのです。
猫や犬を飼っているお客人の衣服や持ち物を、執拗にクンクン嗅いでいる猫は多いですよね。たまにズボッと頭をつっこんだりしてヒヤヒヤさせられます。
猫がスリスリするのはニオイをつけているからなのだ
猫には皮脂腺が特に集っている場所がいくつかあります。
- 口の周り
- あご
- 外耳道
- 肛門周辺
- 尾の付け根の背側
- 肉球
これらの場所をスリスリして自分のニオイをつけます。また、撫でられると気持ち良さそうにするのもこの場所です。ただし、撫ですぎたりすると嫌がりますので、やさしく、ほどほどにしましょう。
猫は自分のニオイに囲まれていると安心する
人間は刺激や変化を求める人も多くいますが、猫はそういったものは好みません。というより、とっても苦手です。
部屋の模様替えでさえストレスを感じるほどです。部屋の中にいつもと違うクッションや家具があると、すごく気にして点検(?)しますよね。
人だったら「このクッションはインテリアに合わなくて変だ!」「こんなところに物を置いて邪魔だな」と思うかもしれませんが、当然猫はそんな風に思ったりしません。
知らないニオイ
これに大きく反応しているわけです。ひとしきりニオイを嗅いだ後は、今度はおでこや口の横、顎などをこすり付けます。自分のニオイをつけているのですね。いわゆるマーキングです。
飼い主が外出先から帰ってくると、まず足元にスリスリする猫ちゃんは多いです。これも、甘えているというより自分のニオイをつけているってわけです。
仲良しの猫同士もお互いにスリスリしてニオイを付け合います。
飼い主が感じる愛猫のニオイはブレンド臭!?
猫は体臭がほとんどない、というのは本当です。ただ、飼い主さんの多くは「ニオイがしない」ではなくて、「お日様のにおい」「香ばしいにおい」「干草のにおい」などほっこりした良いイメージに例えます。
お日様のにおいの正体
猫は日向ぼっこが大好きです。そのせいでお日様のニオイがする?確かにそれもあります。そもそもお日様のにおいってなんでしょう?
人が感じるお日様のにおいって、太陽で分解された汗や皮脂のにおいです。干したふとんのにおいです。このにおいを嗅ぐと、脳がリラックス するそうですよ。
猫と飼い主のニオイが混ざり合う
人間には体臭がありますよね。良いにおい嫌なにおいは置いておいて…。猫がスリスリしたときに、自分のニオイを飼い主につけていると同時に、飼い主のニオイもまた猫に移ります。
ところで、その人の生活空間のニオイってありますよね。部屋のニオイです。いろいろなものが混ざり合って生まれる独特のものです。
生ゴミや趣味と合わない芳香剤でもない限り、嫌なにおいとは感じません。そういった慣れ親しんだにおいが猫からもするのかもしれませんね。そうだとしたら、いいにおいと感じるのもうなずけます。
猫から嫌なにおいがしたら病気のサインかも!
猫に体臭がないのはそういう風に進化したからと考えられています。猫はハンターで小動物を獲物にしていますが、その狩りの仕方は待ち伏せです。
そのとき、自分から発するニオイは大きな妨げになりますね。相手に気取られないように、体臭がしない体を手に入れたのです。
ニオイの元になるアポクリン腺がなくなり、そしてグルーミングという行為によって今も丹念にニオイを消す習性が残っているのです。
もし、愛猫から嫌なニオイがしたときは注意深く観察してください。いつものように毛繕いしていますか?体調が悪くてできないのかもしれません。
毛繕いしているのにくさいなぁ、というときはお口の中に問題がある可能性も。歯周病で口臭がひどいときは、毛繕いのときにそのニオイが被毛についてしまっているかもしれません。
今日もまた猫のニオイを嗅がずにいられないのが猫バカ
猫好きにも、特にお気に入りの場所があると思います。肉球フェチ、尻尾マニアなど。その中でも、においフェチも案外多いのでは?
かくいう私も、猫のおでこのにおいフェチです。ぼーっとしている愛猫の顔を両手ではさんで、クンクンクンクン・・・。めっちゃ嫌な顔されますがやめられません。飼い主の特権であります。